今から10年以上前、父が他界したことを機に、実家を売却することになりました。
退職後は、好きな木々に囲まれて過ごすことが夢だった父は、広い庭に様々な木を植えて、四季の移ろいを楽しんでいました。
築30年にも満たない上に、内装も木をふんだんに使ったこだわりの家でしたが、中心街から離れていたことと、父が集めた木々があまりに大きくなり過ぎたことで、庭木に全く趣味のない現代の人たちには関心を持ってもらえず、売れるまでに時間がかかりました。
結局、親戚が建設業を営んでいるという方が購入しました。
数ヶ月ほどして、実家の様子を見に行くと庭木は半分以上撤去されており、3台分の駐車場になっていました。建設業を営む親戚の方が、重機を使って処分したのでしょう。
時々インターネットで売り家を検索することがあるのですが、立派な木々が植えられたり、立派な庭石が置かれた家は、なかなか売れにくいように思います。
知り合いに、相続した実家を解体し、家を新築した人がいましたが、巨大な庭木の処理だけで、数十万円以上かかったそうです。
「木々が植えられた広い庭」がマイホームの条件の一つだったのは、もうすでに昔のことなのかも知れません。
今の人たちが求めているのは、庭ではないからでしょう… つづく